14

14/20
前へ
/395ページ
次へ
想いの強さと比例するなにか。 きっと、これが嵐さんのもうひとつの思い。 そして、目的。 「初めて会ってから半年は、ろくに顔も合わせなかった。誤解を解いて一年はチャラ男としか見られなくて、話すようになった二年目は弟扱いだった」 よほどウワサの印象が強かったらしい。 まぁそれを裏切らない嵐さんの容姿や言動はあるけど。 「それでも、少しでもそばに居られるなら良かった。年下は眼中にない感じを変えて、俺を認めさせたかった」 「……想像でしかないけど、その人は嵐さんのことちゃんと見てたと思うよ?」 「ユイカちゃん今までちゃんと聞いてた?」 若干、呆れた感じ。 聞いてるからそう感じたのに。 「聞いてました!」 ムスッとして言い返せば、苦笑いを返された。 「慰めはいーよ」 「なんで嵐さんを慰めないといけないのよ。そんな面倒なことわざわざしない。思ったから言ったの。嵐さんこそちゃんと聞いてる?」 「……はい」 「最初はウワサのせいだったかもしれない。でも、分かってもらおうとしたんでしょ? その人、キライと思ったら距離を縮めるタイプではなさそうだし、嵐さんを見て認める部分もちゃんとあったと思う」 「……それは」 「それに、一番ツラいのは嫌われることじゃない。関心すら持ってもらえないことだよ」 想うこと、想われること。 たまにしんどく感じてしまうけど、そう思うのはやっぱり好きだから。
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加