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「やっぱりカッコイイね!」 「本当。神白さんの知り合い?」 いきなり振られて、反応が遅れた。 「だって、彩未がこちらどうぞって言っても神白さんのところに行ったから」 「……気づかなかっただけじゃない?」 余計なことしないで欲しい。 ただでさえ、女ばかりの部署は何かあれば厄介なのに。 受け取った名刺に小さく、裏見てと書いてあった。 "今日はあと一件行ったら終わりなんだ。駅前のスタバで待ってるよ" きちんと、番号とメアドまで記入してある。 だから他の人じゃなく、私のところに来たのか。 皆が騒がしい中、ソッと名刺をポケットにしまった。 数時間後、涼しげに歩く嵐さんが見えた。 目が合うと、ニコッと笑って会釈して帰っていった。 それを見て、また皆が騒ぐもんだからため息しかでない。 嵐さんが帰った後で、アポの予定表を確認すると、しっかりと嵐さんの勤める会社名が書かれていた。 気が抜けてしまっていた私に非はあるものの、だったら和希を通さなくても良かったのに。 また、やられた感がのし掛かる。 ふたりで会うわけにはいかないし、名刺に書いてある感じは本当に待ってそうで行かないと悪い。 また、知らず知らずにため息が出た。 梓に一緒に行ってもらおう。 奢らされるの覚悟して。
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