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「私じゃなくて匠さんのおかげだよ」 「でも、ユイカちゃんと行ってなかったら違ったかもしれないじゃん」 「お礼するのは私のほう。ありがとう、わざわざ持って来てくれて」 さっきまでギスギスしていた雰囲気をぶち壊してしまった。 まぁその雰囲気を作り出したのも嵐さんなのだけど。 「……何よ、なんか私空気読んでないやつみたいじゃない」 「和希の心配も杞憂だったみたいだな」 「ユイカちゃんは俺に用事あった?」 「あ、嵐さんに言おうと思って。明後日の仕事終わってから時間あけといてほしいんだけど」 「あぁいいよ」 「それがあの、彼の仕事先の事務所っていうのが条件付きなんだけど」 「別に構わないよ。尚樹達はどうするの?」 中野君は興味なさそうに肩をすくめた。 「俺はいい。仕事だし」 「私も。榊原さんに坂井君がいるなら大丈夫でしょ」 「和希も行くの?」 「うん。聞いてない?」 「まだ連絡ないよ。忙しいんじゃない?」 まだ会社にいた和希が頭に浮かんだ。 「嵐さんはいいの?」 私が言いたいことを察してくれたのか、嵐さんは笑って頷いた。 「全く。結華のお人好し」 梓から呆れた声が飛ぶ。 「私、帰るわ」 「俺も。相模、送るよ」 「じゃあ、飲み付き合って」 残された私と嵐さん。 「あいつら付き合ってんの?」 「さぁ?」 「俺達も行く?」 「お断りします」 ちゃっかり誘ってきたのは、即答で断った。
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