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「うーん、頑張ろうとしている人を応援したらいけない?」
「いけなくはないけど、話すだけなら結華じゃなくても」
「まぁ、これも縁ってことで。和希もいつまでもそんな顔しない」
私だって緊張してるんだから。
梓の時みたいに、感情に流されて足を止めてしまうんじゃないかって。
「お待たせ。悪い、遅くなって」
「お疲れ様」
「……あぁ」
相変わらずの和希に、ため息が出た。
「ホントに来たんだ」
「悪いか?」
「別に?」
事務所に行く前から何故か険悪ムード。
嵐さんは和希とは正反対に笑顔だけど。
「嵐さんは余計なこと言わない。和希もケンカ買わないの」
「俺、余計なこと言った?」
やっぱり梓について来てもらったほうが良かった。
「もういいから、行きますよ」
ふたりを連れてやっと出発できた。
「ねぇ、ユイカちゃんの彼氏って何してる人?」
「え?」
「わざわざ自分の職場指定なんて。会社でも経営してんの?」
嵐さんの質問に、和希も興味を持ったらしい。
「そういや、結華から聞いてないな」
え、言うこと?
知ってるけど、分かりやすく説明できない。
「……行けばわかるよ」
そう言うしか、他に思い浮かばなかった。
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