16

8/40
前へ
/395ページ
次へ
「結華チャンだからよ。コレを今日活かしてほしいの」 「あのふたりに、ですか?」 「えぇ。自分の気持ちを誤魔化そうとしても、カラーの前じゃ形無しよ」 なんか、私より杏さんのほうが楽しそう。 それに、何故今なんだろう。 「あのね、翼に頼まれたのよ。困ってたら助けてやってくれって。自信をなくしているみたいだからって」 ハッと杏さんを見ると、優しく微笑んだ。 「来てからずっと、顔が沈んでる」 「……すみません」 「ヤダ、落ち込まないで。私は結華チャンの手助けがしたいの。コレで大体のことはわかるけど、私はあのふたりを知らない。私があのふたりの現状を言ったって『違います』って言われたらそれで終わりなの」 意外と頑固なふたり。 和希は占いを信じるタイプじゃない。 嵐さんも笑ってスルーしそう。 「坂井さんも黒川さんも結華チャンに背中を押してほしいって、きっと思ってる」 どうして、そんな嬉しいことばっかり言ってくれるんだろう。 「泣くのは全部終わってから嬉し泣きがいいな」 杏さんの手が頬を包む。 「大丈夫よ」 その一言に覚悟を決めた。 「コレ、教えてください!」
/395ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2834人が本棚に入れています
本棚に追加