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「その診断とその絵に何の関係があるの?」 嵐さんが用紙を指差しながら聞いてくる。 「その診断はね、色を使っていくの。色にもそれぞれ意味があって、それを塗った私たちは無意識に今の心の状態を色で表しているのが、コレ」 彩られた六つの円。 「……こんなので分かんの?」 「ふーん、よく分かんないけど、俺は興味あるかも」 明らかに信じていなさそうな和希と興味津々な嵐さん。 「なるほどね」 何故か頷いている杏さんは興味深くふたりを見ている。 「不満とかは後で聞くから進めるよ。それで、まずは円の大きさ」 三枚のメモ用紙をテーブルに並べて比較すると、やっぱり大小様々。 「嵐さんが一番大きいね」 「結華は小さくね?」 「和希はバランスよく書いたな」 「皆さんの性格出てるわね」 杏さんが間に入ってはくれるけど、説明している間は割り込んでこない。 「続けて?」 見守る先生のように、私を誘導してくれる。 「円は自信の表れで、大きく書いた嵐さんは強気っていうかパワーがある感じかな。私は嵐さんとは逆に消極的ってとこ。和希は平均っていうか」 「積極的でもないけど消極的でもないってこと?」 嵐さんが私の言いたいことを代弁した。
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