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「そう、それ!」 「……ビミョー」 凹む和希を構ってやれないほど、次に何を言うか頭の中は文字でいっぱいだった。 人に分かるように教えるって難しい! 頭で思ったことと言ってることが全然違う。 仕事だからっていうのを置いても、これを当たり前のように言っていた翼と泉さん。 全くカラーの知識がない私に更に分かりやすく説明した杏さんを尊敬する。 「意外と合ってるんだね」 感心している嵐さんの反応は、必死な私にとってはなんだか嬉しかった。 「で、次は円の色ね」 円のひとつひとつにもちゃんと意味があると、杏さんが言っていた。 「まずは上のここ。私は朱色。和希は青。嵐さんは赤だね」 色を塗ったのは本人。 誰かに言われたわけじゃない。 百均でも買える普通の色鉛筆。 「ここは、頭の部分でもあって今の位置、未来をのことをどう考えているかを表してるの」 「言ってみれば、これは人間ってことなんだな?」 「正解」 「へーよく分かったな」 「頭って言われたら簡単だろ」 「どー見ても円の集まりだし」 「続けるね? 和希は青。冷静で知的に先のことを考えてるね。中野君との賭けも関係してるのかな?」 大した動揺もなく、私を見た。
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