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なんか自分で墓穴掘った。 杏さんは止めないから、続けるしかない。 「……まぁ、だいぶ分かりにくい説明で悪いんだけど。あとは、本当にカラーを体験したほうがいいと思う」 カラーについては一通り終わったし、私について聞かれたくなかった。 「ゴメン、ユイカちゃん」 「な、何? どうしたの?」 いきなり頭を下げて謝ってきた。 「ユイカちゃんのこと、何も知らないのに無神経なこと言って……」 「言ったじゃん。あくまで"今は"だから。変わるのは私次第だから、気にしないで」 本当は、杏さんに言われて色を塗った時まで不安だった。 翼の言葉があっても、やっぱり怖くて。 ……足を止めてしまいそうだった。 「それに、今はなんとなく達成感あるんだ。あの短時間でここまで言えたら私にしたら上出来だと思う」 「……マジで色の意味とか知らなかったのか?」 和希は今が一番驚いていた。 「……知ってたら、紫は手に取らないな」 心に弱い部分があると、知られたくないものを、わざわざ教えたりはしたくない。 「お疲れ様でした、結華チャン。初めてなのに大したもんよ」 「ありがとうございます。杏さんの教え方が良かったんですよ」
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