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大学時代の皆を私は知らない。
それでも、和希は人を傷つけて平気でいる人じゃないのは知っている。
嵐さんが自己中心な考え方してても本当は一途で優しいことを知っている。
「嵐だってサークルに平気で女連れ込んでただろうが。しかも毎回違う女。先輩も呆れてたしな」
「……嵐さん」
……一途なんだけど、こういうのを聞くと迷う。
「それはあっちが勝手に付いてきただけだ」
「どうだか。楽しそうだったぞ」
険悪さに拍車がかかる。
杏さんは一切、口も手も出さない。
いや、できない。
翼も泉さんも来る気配がない。
ダメだ。
すぐに周りに頼ろうとする。
私しか、いないのに。
「そもそも、嵐は先輩のこと本気だったのか?」
「……」
空気が一気に冷えきった。
すぐに言い返さない分、嵐さんの気持ちが大きいのが分かる。
『半端ないよ、ダメージ』
苦しそうに笑ったんだ。
本気だから本当に痛くて、時間が経って泣けないでいる。
「俺はウワサなんてどうでもよかった。けど、俺が知っているお前はウワサと変わらなかった。先輩を傷つけたくなかったんだ」
和希は和希なりに先輩を守りたかったんだ。
「……和希はいつから先輩と?」
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