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「……ユイカちゃん」 「今までだってたくさん苦しんだくせに、今更諦めないでよ! そっちのほうがムカつくわ!」 頬を押さえ、呆然と私を見下ろした。 「嵐さんの素敵なところを見つけて、なんで好きになったらいけないの!? どうして嵐さんの想いも許されないの!? そんなの、嵐さんが楽になれるだけで責任なんかじゃない! 好きならずっと、これから一生貫く覚悟で想い続けてよ!」 手が痛い。 胸が痛いよ。 泣くのは、全部終わってからの嬉し泣きにしたいのに。 「……一生、貫く」 掠れた声に顔を上げると、私が必死に抑えているものを嵐さんは次から次へと溢れさせていた。 「……嵐」 「ずっとずっと忘れられなかった。それと同じくらい忘れないとって思ってきた」 どれだけの間、涙を止めていたのだろうか。 溢れる涙は止まらない。 「誰といても何も感じない。こんな俺が……誰かに許してもらえるなんて、考えたこと、なかったんだ」 一生想いを貫くことが許しになるとは限らない。 忘れてしまったほうが、楽になれるかもしれない。 嵐さんが、決めればいい。 「他のことは要領良く器用にやるくせに、肝心なところは相変わらずバカだね、嵐」 扉が開かれた。
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