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「え……え? 泉、さん?」
「久しぶり、結華ちゃん」
「久しぶり、です」
仕事が終わったらしい泉さん。
先程の言葉は、嵐さんから聞いたことがある。
それに今、嵐さんのこと名前で呼んだ。
「坂井も久しぶり。まさかあんたまでいるとはね」
「お久しぶりです。俺もここで勢揃いするとは思いませんでしたよ」
和希まで久しぶりって。
ということは、やっぱり。
私と目が合うと、ニッコリ笑った。
「大学の後輩なの」
……マジで?
「嵐も元気そうだね」
溢れていた涙がいつの間にか止まっていた。
「なんで泣いてんの?」
「……うるさい」
「それにしても、スーツ姿なんて初めて見る。頑張ってるんだね」
私にはいつもの泉さんだけど、嵐さんにとったら泉さんが卒業してから会ってないはず。
「……なんで、いるんだよ」
「言ってくれるわね。それは私のセリフ。ここは私の職場だからいて問題ないでしょう?」
嵐さんと和希が私に、知っていたのかと言いたげな視線を向けたが、首を左右に振った。
「先生が言ってた結華ちゃんの知り合いってこのふたりのことだったんだ。妙な縁だね」
全然驚いたように見えない泉さんは、気まずい様子もなく嵐さんと向き合っている。
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