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嵐さんの呟きに、泉さんが応えた。
｢私に聞きたいことあるでしょ？ 全部答えるから｣
落ち着いた声。
｢……なんでフリなんか｣
｢何を考えてるか分からない、生意気な年下の後輩の反応を見たかったから｣
｢誰だよ、それ｣
｢私の目の前にいるけど？｣
｢……｣
もしかして。
なんて、私がそう思いたいだけなのかもしれない。
｢軽くて女好きでろくなウワサ聞かなかったし、生意気で可愛げもない奴｣
｢……俺の、こと？｣
それには答えず、続けて言った。
｢そんな奴でも、ちゃんと人を気遣ってた。いつも連れてるのは女だったけど、なんか楽しそうに見えなかったし｣
女性に困ったことなんてないって言ってた。
寂しさを紛らわしたかったって。
泉さんはやっぱり、嵐さんをちゃんと見ていた。
｢私には、たまに絡む坂井や中野たちと一緒にいるときのほうが、よっぽど楽しそうに見えた｣
｢……別に｣
｢軽いけど、ちゃんとやるときはやるし自分の好きなことに対してはマメだったりするのはキライじゃなかったよ｣
ちゃんと嵐さんを認めてたよ。
｢……どうして和希だったんだよ｣
｢どうしても坂井じゃないとダメなわけじゃなかった。でも、常識があって私に好意を向けないという点で、坂井が適任だと思った｣
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