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「疲れたー!」
腕を伸ばして部屋に杏さんと翼が入ってきた。
「お疲れ様でした」
泉さんは素早く立ち上がり部屋を出た。
「お疲れ様」
翼が微笑み、一言そう言った。
「え、あ……お疲れ様」
泉さんはカップをふたつ持って部屋に戻ってきた。
「先生、杏さんお茶どうぞ」
「ありがとう、泉チャン」
「お、サンキュ」
和やかな空間。
普段なら絶対に揃わない面子。
和希が翼に近づいて、軽く頭を下げ手を差し出した。
「改めて自己紹介を。坂井和希、結華の同期です。カラーには少々驚かされましたよ」
翼も手を取った。
「榊原翼。結華の恋人です。予約してくれればいつでも診断しますよ」
杏さんが未だに動かない嵐さんを見て、こう提案した。
「よし、飲みに行きましょー!」
「え゙!?」
私と和希の声が重なる。
翼と泉さんは予想していたのか、笑いつつため息をついていた。
「黒川さーん! いつまでも突っ立ってんじゃないよ。ほら、行くわよ!」
嵐さんの腕を掴んで迷うことなく部屋を出た。
「……俺、明日も仕事あるんだけど」
行きたくないと顔に書いてあるが、
「あー後が怖いから行っといたほうがいいよ?」
泉さんの押しに大きなため息をついた。
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