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決めて来たとはいえ、グラつく気持ち。 それに追い討ちされるように、杏さんからのカラーの心理分析は、背中を押してくれたと同時に足を止めてしまいそうになるものだった。 「……怖かった」 「知ってる」 背中をポンポンと叩く。 顔は見えないのに、私が好きな笑った表情をしているんだろうと思った。 「例え、自分で乗り越えられる問題だとしても怖くないはずがないからな」 気を抜いたら、泣いてしまいそうだった。 梓のとき、梓自身が迷っていて私は梓の気持ちばかりを優先して動けなかった。 翼が助けてくれたことは感謝している。 だからこそ、今回は相手の気持ちばかり見ないようにした。 「誰だって逃げ出したくなるぐらいのことはある。でも」 『だから、もういい』 諦めた声が、私を縛りかけたとき、 「結華は逃げなかった。それが全て」 『大丈夫』 翼が私を生かした。 私はそれに答えたかった。 「あの男も結華と同じ。きっかけが必要だっただけだ」 私には、何が嵐さんのきっかけになったのか分からない。 「結華にとって変わるきっかけが俺だったように、あの男は結華だった。それだけ」 ……全く心当たりがない。
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