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「杏から聞いた。結華のカラー心理分析」
後ろめたいことなんかないのに。
自分のことながら、その結果が図星過ぎて聞きたくなかった……言いたく、なかった。
「恥じることも責めることもない。杏が狙ってやったかは知らないけど、結華は言いたくなかったんだろ?」
「……うん」
「それ」
「え?」
意味が分からず、顔を上げると翼がテーブルに置かれたままの用紙を見た。
「自分のイヤのところ、認めたくないもの。それを、まだ知り合って間もない人間に伝えることってあんまりしないんだよね」
だって、どうせなら知られたくないものだから。
……隠しておきたい。
「それを結華は杏たちの前で晒した。他人からみたら『そうなんだ』って流されてもおかしくない」
流されても良かった。
なんでと聞かれなかったのは、和希たちだったから。
「あの男は感じたんだ。結華がどんな思いで心理分析を自分たちに伝えているか」
普通に言うように必死で、その時に自分がどんな表情をしていたかも分からない。
「心理分析は結華と杏しか知らない。理由をつけて杏を退室させて誤魔化すこともできた」
それは、出来なかった。
約束を破るわけにはいかなかったから。
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