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「もう一度あいつに向き合うにしても、まずは俺自身が強くないと無理な気がする」
過去も大事。
それがあるから現在がある。
もっと大事なのはこれからどうしていくのか。
「強くなりたいんだ。好きな女に支えてもらえるのも悪くないけど、俺は充分過ぎるぐらい周りに支えてもらったから。好きな女は俺が支えてやりたい。そんな男でいたいんだ」
未来を見つめる瞳は力強い。
きっと、嵐さんが望む未来は温かい光に包まれているはず。
「なれるよ。だって、嵐さんがそう願うんだから」
私の言葉に、翼が視線を合わせ微笑んだ。
「ありがとう、ユイカちゃん」
「どういたしまして。でも、私だって弱い人間なの。嵐さんだけじゃないから」
梓も杏さんも泉さんも。
和希に中野君も。
「結華」
いつも、私に弱いところなんて滅多に見せない翼だって。
「何か頼む?」
グラスの中身は氷が溶けて色が薄くなっていた。
「ビールが良い!」
私の声が聞こえたらしく、杏さんのテンションがまた上がった。
「よーし! もう一回乾杯しよ!」
「ほら、先生も飲んでください!」
「あんたもよ! 酔い冷めたでしょう?」
梓まで嵐さんに絡み出した。
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