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「友達、だもんね」 「あぁ」 「黒川さーん! 次行きますよ!」 旦那さんに会いたくなったと言っていたわりに、杏さんは二軒目に行くようだ。 「ユイカちゃんは行かないの?」 どうしようかと悩む私に、コツンと頭になにかが当たった。 「悩むな」 翼の拳だったみたいだ。 「俺たちは帰るよ。杏に付き合うと明日ツライから程々にな」 「今日は気分がいいから飲みたいんだ。相手がいてくれたほうが楽しく飲める」 嵐さんが翼と敬語なしに話しているのを見て、また嬉しくなった。 「またな。ユイカちゃん、翼」 手を振り、嵐さんは杏さんたちに合流して後ろ姿を小さくしていった。 「いつの間に名前で呼ぶようになったの?」 「さっき。そんなに歳も違わないし仕事でもないんだから敬語はなしにしようってみんなで話したんだ」 なんだかちょっとだけ、寂しいような悔しいような複雑な気持ちになった。 みんなが仲良くしてくれるのは嬉しいのに。 「どうした?」 「なんか、ちょっと複雑?」 「なにが?」 「……分かんない」 自分でどう表現していいか分からないこのモヤモヤ感。 「それってさ」 「なに?」 「ヤキモチ?」
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