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「……」 ヤキモチ? でも、仲良くしてて嬉しいのに実際にそれを見せつけられると、ちょっと悔しいと思うのは。 「当たり?」 何も言わない私に、翼が顔を覗きこんでくる。 「返事は? 結華」 「……分かってるのに、聞かないでよ」 「直接言わせたいからに決まってるだろ?」 「……絶対言わない」 顔を背けた私に、翼が小さく笑うのが聞こえる。 「帰ろう。可愛い結華、見せたくない」 手を引かれて、タクシーを拾ってマンションに向かった。 「ねぇ、明日どこ行くの?」 「内緒」 「じゃあヒント頂戴」 「ダーメ」 お風呂に入り終え、あとは寝るだけ。 明日が楽しみなのに、翼はヒントさえくれない。 「明日のお楽しみだ」 ベッドに入ると、温かいぬくもりに包まれる。 大きな腕に頭をのせて、好きな人の存在を近くに感じられて眠りにつく幸せ。 「……好き」 身体を近づけて翼の胸に顔を埋めた。 「俺もだよ」 髪にキスの感触。 くすぐったいのにそれが嬉しい。 明日はどこに行くんだろう。 食事には行くけど、翼の仕事も忙しいから出かけるのは初めてかもしれない。 好きな人とのデート。 普段着ないような服装も、明日なら悪くないと思えた。
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