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「自己紹介がまだでしたね。私、社長の元で事務とカラーの勉強をさせていただいております、森高 麻弥です。以後、お見知りおきを」
丁寧な挨拶に慌てて私も頭を下げた。
「神白結華です。こちらこそよろしくお願いします」
「存じております。翼さんの大事な大事な可愛い恋人さん」
「え?」
「麻弥、余計なこと言うな」
翼の機嫌が悪い声も、麻弥さんの言葉で気にならない。
「皆、結華さんに会いたかったのに、翼さんが中々こちらに来ないから社長がキレてこんな形になってしまいました」
「えと、社長というのは」
翼は師匠って言っていたから確認がてら聞いておきたかった。
「社長はカラーの先生でもあるんです。私たちにとっては第二の親的存在でもありますね」
そんな凄い人と私なんかが、ただ会いにきましたってだけでいいんだろうか。
「行くぞ。麻弥は仕事しろ」
「それでは、また後程」
最後まで笑顔で対応していた麻弥さん。
なんだか、杏さんと似た雰囲気を持っている。
「……緊張してきた」
「それは俺のセリフ」
「なんで翼が?」
「……会えば分かるよ」
その切り返しは、自分も使ったことがあるからよく分かる。
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