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翼のマンションに当たり前のように泊まった。 隣には寝息をもらす愛しい人。 先程のことを思い出すとまだ熱が冷めない。 翼を起こさないように服を着て、携帯を持ってベランダに出る。 熱が冷めない身体には丁度いい風が吹いていた。 真由美さんのところから帰ってきてからずっと考えていた。 『じゃあ、この先。どんな女性でいたい? 結婚したとしてどんな母親でいたい?』 あれが欲しいとか、どこかに行きたいとかは考えても、今後の自分の理想像なんて考えたことない。 真由美さんをはじめ、麻弥さんに杏さんと泉さん。 梓や和希に中野君、嵐さんも。 そして、翼。 みんなと出会って、隣にいて恥じる自分では居たくないと思った。 寝室に視線を向けると、私はある人に電話した。 ちょっと遅い時間で申し訳ないけど、今じゃないとまた誤魔化してしまいそうだった。 何回目かのコール音のあとに繋がった。 「遅くにすみません。あの、杏さんにお願いがあるんです!」 ある決意を胸に、自分で一歩踏み出す。 翼になんの相談もしなかったことについては、あとで怒られるだろう。 それでも、きっと背中を押してくれる。
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