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しばらくしてから翼と泉さんが部屋に入ってきた。 「俺は何すればいいんだ?」 「別に何もしなくていいわよ。そこに座って」 ホワイトボードの前に人数分の椅子を集める。 杏さん以外は座った。 「ちょっと翼に見てもらいたいものがあるけど、最後まで口出しはしないこと。それを踏まえてあとで感想聞くから」 未だに意味が分かっていない翼は首を傾げるばかり。 「それじゃ、結華チャン。どうぞ」 「はい」 杏さんと入れ替わりで前に立った私。 翼が杏さんと私に交互に視線を投げる。 小さく深呼吸をすると、私を見上げる翼と目が合った。 「それでは、始めさせてもらいます。お肌には三つの層があり一番上の層を表皮。真ん中の層を真皮。一番下の層を皮下組織といいます」 その一文から、私が何をするのか理解したようで目を見開いて驚きの表情を見せた。 それに満足しながらも、覚えて間もないスキンガイドトークは、途中で止まったり言い間違えをしてしまったりだったが、最後まで言い終えることが出来た。 「……」 翼は呆然と私を見上げている。 「翼、感想」 「先生、何か言うことないんですか?」 「ちゃんと聞いてました?」 痺れを切らしたみんなが、翼に畳み掛けるように言う。
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