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「無理すんなよ?」 「してないよ」 周りからしたら、こうして坂井君と一緒にいることすら好奇の対象になるんだろうか? 私はともかく、坂井君までとばっちりがいくのは避けたい。 「シ、ワ」 眉間を指差された。 久しぶりに感じる坂井君との穏やかな距離。 「らしくないこと考えんなよ」 「はーい、そこイチャつかない」 「梓。どこ行ってたのよ」 「んー企画科の増川君に食事に誘われてね」 その間に、私凄くイライラしてたのに! 「そいつがくだらないウワサなんかを面白おかしく言うから、ムカついて一発平手打ちをかましてきたわ」 「タダ飯がパーだな」 坂井君が笑みを浮かべて私を見た。 誰のどんなウワサは言わなかったけど、なんだか嬉しかった。 「全くだわ。結華、今日付き合いなさいよ」 「了解」 「坂井君もどう?」 「今日は止めとくよ。たまにはふたりがいいだろ」 察しての気遣いにまた嬉しくなった。 「じゃあな。相模、神白のこと頼むな」 手を振って坂井君が遠くなると、梓がニヤリと私を見る。 「頼むなって彼氏のセリフじゃない?」 「坂井君、優しいからね」 溜まっていたストレスが少しだけ軽くなった。 「昨日も飲みに行ったから私の家でいい?」 「いーよ。そのほうが色々聞けそうだしね」 私も聞いて欲しいことがたくさんある。
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