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「結華の友達なら可愛いんだろうな」 「……そうですね」 実際に梓は可愛い。 というか美人だ。 見た目とは裏腹なバッサリとした性格に、時々見せる女の子らしさは私も見習いたい。 「彼氏いますからね」 「なんか怒ってる?」 「別に」 「声に刺があるんだけど」 「知りません」 怒ってるわけじゃないのに彼の言う通り声が刺々しくなる。 「ヤキモチ?」 「違います!」 思わず通話を切った。 梓の声が響く。 「結華? なんかあったの?」 「ゴメン! なんでもない!」 ドアが閉じたのを耳で確認して長いため息を溢した。 「それはヤキモチでしょう?」 お風呂から出てきた梓に、さっき大声をだした経緯を話した。 「だから違うって!」 「だって、彼が友達のこときいたらイラッてしたんならやっぱヤキモチじゃん」 「私は女ならいいのかってムカついただけだもん」 「ハイハイ。いいから認めなさいよ」 「イヤ」 「あんたね……」 「だって、好きじゃない」 「自覚がないだけ。坂井君とはきっと好きが違うんだよ」 「坂井君と榊原翼は違うし」 「まぁね。どちらかと言うと正反対。だからこそ、坂井君は恋愛対象にならなかったんでしょ?」 坂井君とはずっと仲良くて。 それに甘えていたし、人気のある人が自分に好意を寄せてくれるなんて思ってなかった。
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