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不安だらけの中で、梓の"大丈夫"って言葉が胸いっぱいに広がっていく。 「梓がいれば百人力だよ」 「当然でしょう?」 顔を見つめ合って数秒間、お互いに笑いだす。 「少しは肩の力が抜けた?」 「おかげさまで」 「どんな答えでもいいよ。結華は結華なんだから」 「きっと坂井君もそう言ってくれると思う」 無理して、自分を偽ってまで向き合うことを坂井君はきっと望まない。 「うん。いい顔。頑張って」 昼休みが終わると、定時までがやたら早く感じた。 着替えて携帯を見ると、メールが三件届いていた。 上から坂井君、梓、杏さんから。 坂井君はもう正面にいるらしい。 梓からはきっと頑張れメール。 杏さんのは後で確認しようと急いで外に出た。 正面に着くと、坂井君一人ではなく何故か大人数。 女の子が数人と……中野君がいた。 足を止めた私に坂井君が気づいて手を上げた。 自然とその場にいた全員が私に注目した。 中野君は素知らぬ感じで挨拶すらしない。 女の子は後輩ばかりで、挨拶はされたが感じ悪い視線や表情が憎たらしい。 「……坂井センパイが待ってたの神白センパイだったんですね」 「ちょっと相談したいことがあってね」 「あたしで良ければ全然聞きますよ!」 次々にあがる声に私は表情に出さないよう努めた。 なんだか、この人に相談するならって付きそうな言い方にカチンとくる。 中野君は明らかにウザそうに顔をしかめている。 「悪いな。神白じゃないとダメなんだ」
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