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「神白は好きなの?」 「……分からない。でも、私に違う世界を見せてくれる」 考えたことない発想に戸惑うことも多い。 でも、考えることすらなかった私には新鮮な風にも感じる。 「……世界か。参ったね」 肩をすくめてかすかに笑う坂井君と目があう。 「告白されたの?」 された、気がする。 そもそも出会ってからそんなに経っていないし、言われたとしても本気にするわけない。 「冗談かと思って、ちゃんと答えてない」 「早めに言った方がいいぞ。どうせなら俺が言おうか?」 「え? 坂井君知ってるの?」 「尚樹じゃないの?」 聞いた瞬間、目が点になる。 そういえば、なんか坂井君が勘違いして告白の流れになってしまったんだった。 「冗談止めてよ! 中野君なわけないし」 「だって今日珍しく一緒にいたし、尚樹が早くとか言ってたから返事のことじゃないのか?」 「いや、返事は返事でも坂井君に対してだから」 「俺?」 「中野君に、さっさとケリつけろって忠告されたの。んで、タイミング良く梓と坂井君が来てたわけ」 説明が終わると、坂井君は額に手を当てて肩を落としていた。 「ど、どうしたの?」 「俺の、勘違い? うわー悪ぃ! 神白悪くないのに返事急がせた」 謝られて、なんだか肩の力が抜けた。 「坂井君こそ謝らないでよ。返事急がせたことも気にしないで。ずっと言わないといけないって思ってたから」
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