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「ん。言ってくれてありがとな。これからも友達、な」 「当たり前でしょう!」 笑いあって、再びグラスを合わせた。 ようやく、お互い笑みがこぼれる。 「そっか。尚樹じゃなかったんだ」 「私、中野君ムリ」 「そうか? 俺には楽しそうに話してるように見えたよ」 「どこが? 中野君女嫌いなんでしょう?」 「一部の女子社員はね。尚樹とはあんまり恋愛について言わないし、俺の勘だけど好きな女はいると思う」 「え!? あの中野君に?」 凄い失礼だけど、あの性格で片思いっていうのが似合わない。 「ただの勘ね。何も言わないから俺も聞かない。言ってくれるの楽しみなんだ」 あの中野君が好きになる人ってどんな人だろ。 全く想像できない。 「内緒な。誰にも言ったことないんだ。勘だけで言って周りに面白おかしく言われるの嫌だから」 それは経験上、よく分かる。 初めから誰かに言うつもりもない。 本人に聞いても、私相手ならいないの一言で終わりそうだ。 「まぁ仲良くな」 「……私嫌われてると思う」 返事はしたけど、今度は別の意味で睨まれそうな気がする。 「尚樹は仕事中以外は嫌いなやつに近寄らないよ。無駄なことが嫌いだからな」 忠告してきたのは無駄を省くため。 まぁ、これから仕事以外では関わることもないだろう。
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