一章

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キンコンカンコン、と聞き慣れたチャイムの音が耳に入る。 (ヤバいヤバいヤバいヤバい!) …結城は電車を二回も寝過ごしていた。 聞こえてきたチャイムは、"昼休みを告げる"チャイムだ。 駅からの全力疾走の勢いそのままに、靴を履き替え教室のある三階に向かう。 朝の電話の相手が説得に成功したのを願うしかない。 教室の中からは、ざわざわと昼食の準備の音と談笑する声が聞こえる。 入り口の前で二、三度深呼吸をして息を整えた後、引き戸を開けた。
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