一章

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ガラガラガラ! 注意して開けたはずなのに、引き戸は予想外の音量を響かせた。 刹那、さっきまでのざわめきが嘘のように静まる。 シーンという音が聞こえそうなくらいに。 「お、おはようございます」 結城の挨拶に、 「…終わったな」 という声が誰からともなく返ってきた。 それを口きりに、ざわざわと教室に活気が戻るが、その内容は結城の心配、ではなく期待。 心配であれば、「結城君大丈夫かなぁ」なんて台詞を半笑いでは喋れないだろうに。 「海外に逃げた方がいいんじゃね?」だとか、 「ご愁傷様」だとか言われながら結城は席に着いた。
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