一章

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(いいじゃねぇか。女の子達に『きゃわいい!』なんてちやほやされるんだからさ~) 結城は廊下に出て、投げ捨てられた携帯食料の中身を確認する。 「おいこれもはや粉薬だよ…」 見るも無惨な昼食に一人ごちる。 育ち盛りの高校一年生が、今日びチビッ子のくれたおにぎり一つで一日生活出来るわけがない。 しかし、まだ悲劇は続く。 「おめでとう」 しゃがんでいる結城の背後で太い声がする。 「君は今日で記念すべき100回目の遅刻だ」 振り返らなくてもわかる。 いや、むしろ振り返れない。 担任の武山だ。
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