序章 常識を超える能力

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「…な、なんだね君は」 社長は一人で酒を飲むのが好きだった。 仕事が終わり、秘書から解放され、タクシーは使わず、徒歩で駅に向かう。 その途中で気になった店にふらっと入り、その店のオススメを肴にチビチビ飲む。 社長らしくないその趣味は、貧乏時代の名残だった。 そして今は久しぶりにその趣味を堪能した帰りだ。 ライバル社と最後まで争っていた大口の取引が成功。 寝る間も惜しんで働いた、これまでの自分へのご褒美だった。 そんな上機嫌で店を出て、裏通りを少し歩いたところにその男は現れた。
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