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ジーパンにオレンジ色のトレーナーという、いたって普通の格好。
背は170cmを少し越すくらい。
顔に仮面をつけていなければ、どこにでもいるような青年だ。
仮面をつけていなければ。
しかし、仮面はそこにある。
「なんだね君は」
無言で立っている男に、社長は冷たい何かを感じながらももう一度尋ねる。
「これを」
予想外に高い声。
男はポケットに手を入れる。
「渡すようにと」
ポケットから出た手には、指輪箱ほどの大きさの宝箱が握られていた。
警戒しながらも社長は受け取る。
海賊船が似合いそうな木製の宝箱。
よく見ると細かい所まで綺麗に細工されている。
「おい、君これは誰に…」
社長が顔を上げた時には男は消えていた。
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