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謎の執行部に捕まったせいで、部屋を出る頃には入学式は既に終わっていた。
……待って、もしかして真くんは先輩!?
信じられない……未だに電車とか子供料金で乗れそうなのに……。
きっと学校の七不思議であるという結論に達した頃、私は自分の教室へと着いた。
4組……うん、さっき紙で見たから間違いない。
一応、コソッと入るけど、やっぱり視線を集める結果になった。
「おや~?入学早々遅刻とは大物だね、姫川有希」
セミロングの黒髪に黒縁眼鏡を掛けた美人さんがニヤリとこっちを見る。
「因みに姫川以外に遅刻がいないから名前が分かるんだぞ。ほら、座る!あ、一応理由を聞くか」
思う前に言われちゃった。理由……正直に言うべきかな?
「えっと……執行部の人に連れ去られていました」
そう言うと先生の目に哀れみが混じる。生徒の中でも少しざわめきがあった。
やっぱり関わらない方が良い部類の人なのね……。
「あー……何と言うか、頑張れ!今日の遅刻は見逃してあげる」
輝かしい笑顔でそう言われた。
うん、遅刻が無くなった事を喜ぼう。
その後は今後の予定を話して、オリエンテーションという名の自由時間となった。
「ねぇねぇ。執行部に入ったの?」
前の活発そうな黒髪ポニーテールの女の子が体を捻って好奇の目を向ける。
「あ、ゴメンね。私は原真奈。よろしくね、有希ちゃん」
「よろしく。執行部には入らされたと言うか何て言うか……」
「弱みでも握られた?」
「圧力に屈したのかな」
小さくそっかと呟くと顎に手を当てて黙り込む。
「もしかして、執行部について何か知ってる?」
「……聞いた話だと、この学校の影の支配者らしいよ。
色々な所から情報を掴んで来るから、逆らえないんだって。先生の中にもヤバいのを握られている人もいるとか」
……主に悠也さんが悪いって事か。
確かにあの人ならやりかねない。
「何にせよ、有希ちゃんは一躍有名人間違いなし」
「ははっ……」
もう、乾いた笑いしか出ませんがな。
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