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目の前の鏡に写る私は少し違う。
赤と黒のチェックスカートに紺色のブレザー、赤のリボン。
制服が変わっただけ。なのにこんなに気分が晴れやかになる。
今日は待ちに待った“私立九条高校”の入学式!
本当に頑張ったんだから……この制服を着るために。
机にかじりついて、毎日毎日勉強。起きてる間は何かしらしていた気がする……。
良かった……何か思い出すと目頭が熱くなる。止めよう。
まぁ、ちゃんと受かったから良しだよね!
これからも勉強は頑張らないとなぁ……九条高校は県内有数の進学校だから、周りのレベルも高いだろうし……。
「何鏡の前で落ち込んでるの?太ってサイズが合わなくなった?」
薄い茶髪を後ろで縛ったお母さんが横から顔を覗かせる。
「なっ、失敬な!ちゃんとこの日に合わせてセーブしてきましたー」
「あらそう?昨日思いっ切りケーキ食べてたから心配したのよ」
それはアナタが私の横でわざとらしくケーキを食べるからでありまして、決して欲望に屈したわけではありません!
「大丈夫よ、有希はいつも通り素敵」
頭を撫でてくれる。やっぱりお母さんは私の味方……
「だから、さっさと学校行って格好いい男の子何人か捕まえてお母さんに紹介してね」
感動返せぇぇぇ!!
「行って来まーす!」
「頑張れー!有希ー!」
とても裏を感じるエールを背に受けて学校へと向かう。
そこで待ち受けるであろう出会いに心躍りながら。
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