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「わぁ……」
校門まで伸びる綺麗な桜並木の一本道、同じ制服の人々。
みんな少し緊張気味な気がする……私も同じかな?
その先に姿を現す白壁の校舎。四階建ての立派な物、グラウンドも体育館も何故か二つあるという無駄に広大な全体。
ここは……日本?何、この某合衆国のような豪快さは。
ん?校門の辺りが騒がしい……。
何だろ?
目を凝らしてみると、サッカーや野球、バスケットのユニフォームを着た人達が声を張り上げている。
部活の勧誘だ、こんなすぐに熱心だなぁ。
なんて人事の様にその横を通り過ぎる。
そんな中に一際目立つ人がいた。
他より頭二つ程飛び出した短めな茶髪の男子生徒。
背が高いせいか、凄く威圧的に見えた。
慌ただしくみんなが動いている中で、腕を組み、眉間にシワを寄せて鋭い眼光で通っていく新入生を睨む姿は明らかに変。
応援団とか体育会系だよね……どう考えても。
て言うか、ひたすらに怖い。
横目で見ながら肩をすぼめて、目を付けられないように通りましょう。
うん、それが正解だと思う。
脳内会議全員一致で危険人物と判断されたので、なるべく人混みに紛れて通り過ぎた。
「ん……?」
良かった良かった、何事も無くて。
運動はそんなに得意じゃ無いから勧誘されても困るし、早くクラス編成の紙でも見に……
「お前だ!!」
空気を切り裂くような大声、止まる周りの動き、声のした方を見てみるとさっきの危険人物が人差し指をこっちに向けていた。
周りの注目を一心に浴びながら、打って変わって輝いた瞳で歩いてくる。
そして、私の前で止まった。
私の後ろに何かあるのかな?どいた方が良いよね。
右にズレてみる。
危険人物も右にズレた。
じゃあ、左。
危険人物も左。
へー、気が合いますね。
知らない人と譲り合うのって凄く恥ずかしいの知ってますか?
くっそー、こうなったら……
右、左、右、左、左、左、みっみみっ、左、上、下、A、B、下、下、B、A……
えぇー……バッチリ正面から退いてくれないんですけど。
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