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その目は確実に私を捉えていた。気分はアッコに睨まれた某リアクション芸人。
取りあえず、無言は駄目だよね。
「あのー……私に何か用ですか?」
ものっそい睨まれてます、私。ing型です。上から下まで睨まれing状態です。
そろそろ、言葉のキャッチボールをしませんか?
「ふむ……」
小さく唸ると満足げに腕を組んだ。
「お前に決めた」
なる程、ノーコンピッチャーですね、分かります。
ふと、その巨体が消えて、私の体がふわりと浮く。
気付けば肩に担ぎ上げられていた。
って、おぉぉ!?!?
「何してるんですか!?下ろして!」
「うん、これなら皆納得だ」
「ぜんっぜん意味分かんない!ちょっと、お尻触ってる!」
「あぁ、大声を出して失礼。構わず勧誘活動に勤しんでくれ」
「私を気にして下さい!」
全力で暴れてるのに全然動じないー!
「助けて下さい!」
何が何だか分からず呆然とする新入生と露骨に目を逸らす勧誘活動の先輩方。
凄く…薄情です…。
「さて、部室に行くか」
「部室!?何部なんですか!?誰なんですか!?聞いてます!?耳付いてますか!?バーカ!!」
「残念な事に学年主席だ。馬鹿じゃない」
おぉう、反応した。
なのに何で一番どうでもいい事に答えちゃうかな……?
抵抗虚しく、それ以外の質問は華麗にスルーされ、私はドナドナされてしまった。
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