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「見つけたぞ!」
そのままどこかの部屋に勢い良く入る。後ろ向きだから見えない……。
「怜くんすごーい!」
一つ可愛らしい声が響いただけ。そのまま部屋のソファーに勢い良く座らされる。
……きったない。
奥隅に座らされていた。向かい側にテーブルとソファーが一つ、真ん中に大きな机があって、反対側の隅に幾つものコンピュータ。
部屋自体は広くて綺麗なんだけど、書類が床や机に散乱してるし、変なコードも一杯……。
The男の部屋って感じ。
「この子ー?」
「そうだ。俺は決めた」
キョロキョロと辺りを見回していると、目の前に顔が迫っていた。
向かいのソファーからテーブルに身を乗り出して来る。
サラサラの黒髪に丸い瞳、白い肌、手の甲辺りまでの薄い茶色のカーディガンを着た男の子。
え、凄い可愛いんですけど。軽く私負けてますけど、何か?
「ふむふむ……」
私をジッと見ながら、口元に手をやりながら何やら唸っている。
そんな動作もいちいち可愛いなーもうー。
「ナルホド、面白いかもー」
軽く抱き締めたい衝動に駆られていると、何やら納得したようで、テーブルを飛び越えて私の横にちょこんと座る。
「初めまして。僕は神山真、みんなシンちゃんって呼ぶよ。
お姉ちゃんは?」
「あ、え、ひ、姫川有希でしゅ!」
……メチャクチャテンパってます。無駄に声張っちゃったし。
しゅって……軽く死にたい。
「はははっ!しゅ、だってよ!あっはははっ!」
追い討ちを掛けるかのような笑い声。
確かに恥ずかしいけど、そんなに笑わなくたって!
その声の主はパソコンのデスクの下から顔を出した。
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