ノイズ

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深夜の住宅街の静寂を切り裂くようにパトカーのサイレンが鳴り響く。それも、1台や2台ではなく、数十台というパトカーが猛スピードで駆け抜けていく。 次々とパトカーはとある民家に止まっていく。そんなパトカーやトラックからは警察官や機動隊員が鉄製の盾を構えながら外に勢い良く飛び出ていく。 「警部、人員30名集合、および配置完了しました」 一人の20代後半の警察官が警部と呼ばれる初老の男に敬礼をする。しかし、男は一言も喋らずに頷き、目で配置に戻るように指示を送った。 「しかし、相手を甘く見ていました。まさか、説得に行ったネゴシエイターを撃ち殺してしまうなんて・・・」 「それだけじゃねぇ。相手は暴力団、武器の密輸や扱いは奴らの十八番だ。まだまだ、大量の火器を持ち合わせてる可能性もある、突入して刺激してダイナマイトでも投げられてみろ。犯人はともかく俺たちもドッカーンだ」 初めて口を開いた警部が犯人の特徴等を教えながらタバコを1本くわえる。 -パンッ 銃声が鳴り響く。 警官達も驚き身構える。 「もう突入しましょう!これ以上いたずらに犯人を刺激する真似をすれば人質だって無事では済みません」 「人質をとって約10時間、犯人も疲れが見えてきてるかもしれん。よし、突入準備。ただし、無茶はするなよ」 敬礼した後、足早に立ち去っていく警官。10分程度で突入の準備が整った。 「よし、突入!」 盾を構えた警官達が雪崩のように民家へと入っていった。犯人と人質は8畳程度のリビングに立てこもり、ピストルを人質である女性の頭部につきつけていた。 女性の心身共にまともではないはず、一刻も早く助けたかったのだが、この状況下では圧倒的に犯人が有利である。しかし、大量の警察官を見た瞬間に犯人は意外な行動をとった。 「きゃあ!」 「人質は確保、人質は確保しました。外傷などはありません!」 犯人は人質を自らの手で解き放ったのだ。これで、犯人を抑えるだけであるが、まだ相手の手には銃がある。うかつに近づけば死人も出かねない。 「来るなっ!来るんじゃない」 「銃をその場にゆっくり下ろすんだ。命の保障はする」 犯人の顔はサッと青ざめて何か恐ろしいものを見るかのように引きつっている。 「寄るな!頼む、殺さないでくれ!」 「殺さない、だから銃を下ろすんだ!」
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