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ノイズ
-ピリリリリ・・・
一人の男の携帯がなる。
「おう!俺だ、どうした?」
人を圧倒するほどの低い声と体格や眼光は普通の人には出せない雰囲気である。ビシッと着込まれたスーツの胸の部分には金のバッチ、靴はエナメルの白い靴と典型的な暴力団の格好だ。
「おい、どうした。何も聞こえないぞ」
携帯越しに小言の一つでも言ってやろうかと思ったが、全く出てこない。
イライラして文句を言おうとした瞬間だった。
-ザァァァァ・・・
聞き覚えのある、音だった。
「うわっなんだこりゃ!故障か?」
テレビやラジオでチャンネルが合っていない時に聞くノイズの音だ。
-ザァァァ・・・プッ!
しばらくすると電話の切れる音と共にノイズも途切れた。
「あいつ、携帯壊れたのか?」
次の瞬間だった。
-ギィィ・・・
ドアの開く音。
おかしい、事務所のドアには鍵を掛けたはず。
何故開いたんだ。
男はゾッとした。
そして、男には感じた。
何かいる・・・間違いない
男は恐怖を振りほどきバッと後ろを振り返る。
「あ・・・あぁぁぁぁ!」
何かを見て悲鳴を上げる男の事務所の灯りはフッと消え、男も灯りと一緒に姿を消した。
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