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一一魔王城、玉座の間。
「調査の方は進んでいるか?」
玉座に座っていた魔王が、静かな声で尋ねた。
「申し訳ございません。まだ特定には至っていないようです」
魔王の配下である初老の男が、ひざまずきながら言った。
「そうか。では、なるべく急ぐよう伝えておけ」
言い終わると、魔王は目を閉じた。もう言うことは無い、というように。
「御意に」
配下の男はそう言い、玉座の間を去っていった。
その後、魔王しかいない玉座の間に、しばらくの間静寂が訪れた。
時が少し流れ、魔王は目を開けた。
「………ふぅ」
悪魔戦争が始まってから数ヶ月が経ったが、進展はない。
……やはり、あいつのせいなのだろう。
「何故邪魔をするのだ、奈緒………」
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