プロローグ

2/2
3007人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
一一魔王城、玉座の間。 「調査の方は進んでいるか?」 玉座に座っていた魔王が、静かな声で尋ねた。 「申し訳ございません。まだ特定には至っていないようです」 魔王の配下である初老の男が、ひざまずきながら言った。 「そうか。では、なるべく急ぐよう伝えておけ」 言い終わると、魔王は目を閉じた。もう言うことは無い、というように。 「御意に」 配下の男はそう言い、玉座の間を去っていった。 その後、魔王しかいない玉座の間に、しばらくの間静寂が訪れた。 時が少し流れ、魔王は目を開けた。 「………ふぅ」 悪魔戦争が始まってから数ヶ月が経ったが、進展はない。 ……やはり、あいつのせいなのだろう。 「何故邪魔をするのだ、奈緒………」 .
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!