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私は、ゆっくりと朔馬の横たわるベッドへ近づいた。
そして、そっと朔馬の頬に手を触れた。
昨日までの温もりが、嘘のように感じない。
「………綺麗な顔してるだろ。でも、そいつの動く姿は二度と見れないんだぜ?」
と、窓際に立っていた篠原(しのはら)くんが、涙を拭いながら言う。
私は、その言葉を聞いて急に泣き崩れた。
朔馬のギターを弾く姿
楽しそうに歌う姿
夜遅くまで曲を書く姿
その姿が、もう二度と見れない。
あの体温(温もり)も、感じることができない。
私の中に大きな穴が、ぽっかりと空いたような気がした。
君の存在が、私の中でどれくらい大きくなっていたのだろう。
私は涙が枯れるまで泣いた。
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