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私が朔馬と出会ったのは、大学に入ってちょうど1ヵ月が過ぎた頃だった。
軽音部に知り合いがいるという友人に誘われて、ライブを見に行ったことがきっかけだった。
初めてライブスタジオに入ったときのドキドキ感は、今でも覚えている。
受け付けから会場まで、どこを見ても学生ばかりで、あー、自分も大学生になったんだなって思ってしまった。
ステージのカーテンが開くと、拍手がなった。
私はとりあえず周りに合わせ、拍手をして、隣にいる友人に
「ねぇ、あんたの知り合いって、このバンドの中の人?」
と、こっそりと訊ねた。
友人は首を横に振り
「違うよ。あたしの知り合いが出るのは、この人たちの後!
それに、この人たち2年の先輩だし」
と言って、ステージの方に視線を戻した。
「ふーん」
と言って、私もステージの方に視線を向ける。
ステージでは、私が聴いたこともない曲が、大音量で演奏されていた。
凄まじい楽器の音と、ヴォーカルの声、会場の熱気に、私はくらくらしそうになった。
立っとくので精一杯だ。
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