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俺の名前は伊吹竜哉。
都心部に住み、極普通の高校へと通っている、何の変哲もない学生だ。
母はとうの昔にガンで他界し、父の伊吹桐哉はハンター・・・
ではなくて、よく分からない変な人のため、今も世界中のあちこちを歩き回っていることだろう。
もちろん、生活費うんぬんはしっかりと父からもらっているので、何も生活に不便することはない。
そして俺は今日、高校生最後の学年である3年生の始業式を迎えた。
「やっべ、寝坊したー! 急がねーと!!」
まったく何てこった。
まさか始業式の日にやらかすとはな…
ふっ、さすが俺だぜ…
なんて格好つけてる場合じゃねー!
ダッシュもダッシュ、猛ダッシュー!
急いで家を後にし、学校へと全力で足を進める。
吹き抜ける風が、無性に心地よく感じた。
もう春か…
外はポカポカした陽気に満ちていて、冬の寒さはどこにも残っていない。
都心部なため、桜の木とかはあまり見かけないが、この気温だけでも充分、俺は始まりの季節を実感していた。
最後の曲がり角を曲がり、ようやく学校に到着すると、既に校舎の中には誰もおらず、みんな体育館へと移動していた。
ちっ…
こうなりゃ、始業式が終わるまで時間つぶすか……
さすがにあの空気の中を、入っていく気にはなれなかった。
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