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成美の言っている事は、よく解らない。
成美は、俺のナイフを拾い、刃を肩につきつけてきた。
「ぐぁっ! あああ!」
ぐりぐりと刃を捻る。
冗談みたいに血が噴き上げ、成美は返り血で赤く染まっていく。
「あはっ、達也の血、あったかぁい」
血を浴びて微笑む様はまさに狂人だった。
「痛い? ごめんねぇすぐすむから」
カッターを取り出した成美は、迷いなく首を切りつける。
「あ・・・」
そんな小さな言葉しか出なかった。
肩よりも勢いよく血が吹き出る。
あぁ、もうだめだと悟った。
「達也はね、私の一部になってずっと一緒に生きるのよ。鼓動するたびに達也を感じる。息をするのも、何もかも。生きる全てに達也を感じる。こんな嬉しい事はないわ」
意識はほとんどない。それにひどく寒い。
「私の血となり肉となり、永遠に、ずっと、ずっと、一緒に生きましょうね。私の達也・・・」
やっと、言っている事が解った。
やっぱり狂っている。
いつからだ? いつから間違えてしまったのか。
成美は再度ナイフを振り上げ、それを勢いよく、力一杯ふり降ろした。
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