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「え? う、うそでしょ?今何て言ったの?」
「だから、別れようと言ったんだ」
行動は早く、次の日には成美を呼び出し、別れ話を切り出した。
案の定、成美は取り乱したが、俺の頭の中にはもう花野さんの事で一杯だった。
「な、なんで? 私はこんなにも達也を愛しているのに、どうしてよ? ずっと一緒にいましょうよ。私の事は好きにしていいからぁねぇ捨てないで! 嫌なの! もうあなたの事しか考えられないの! 嫌よ! 別れるなんてイヤイヤイヤイヤ!」
涙を浮かべ必死に懇願する成美。
その姿が滑稽で、惨めで、完全に成美への熱は冷めてしまった。
「・・・今まで楽しかったよ。早くいい人見つけろよな」
「まって! 行かないで!」
成美の手を振り払い、その場を離れる。
一週間なんて時間は要らなかったな。
早く花野さんに会いたいぜ。
別れたと言うのに気分はひどく晴れやかだった。
「どうしてよどうして」
成美の声を聞こえないふりをして、振り返らずに歩いた。
「そうだ。そうよ。達也は優しすぎるのよ。だから、そうに違いないわ。ふふふ、可愛い達也・・・ふふふふふひっはははははははっ」
次の日成美は学校に来なかった。
でも、そんな事は気にせずに、新しい生活の事を考えて過ごしていた。
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