97人が本棚に入れています
本棚に追加
成美はどこか虚ろな目で、真っ直ぐに俺をみている。
その目線に、少し恐怖を覚えた。
「ど、どうしたんだよこんな所で」
「うふふ・・・あの女、花野だっけ? 顔に大きな傷ができちゃたんですってねぇふふふ・・・」
不気味に笑っている。
・・・背筋が震えてきた。
「いいきみよねぇ。そう思うでしょ? ね、私の達也・・・」
たまらなく成美が怖い。
心臓の鼓動ははち切れんばかりに大きくなり、次第に嫌な汗が背筋を伝っていく。
「いいきみってなんだよ」
必死に声を絞り出した。
「あの女、達也に告白したんでしょ? 達也は私の彼氏なのに」
知っていたのか・・・。
「お前とは、もう別れたはずだ」
「そんなの知らないわ。達也は私のものだもの」
一歩一歩、俺に向かって歩いてくる。
俺はその場に立ち尽くして動けなかった。
「ずっと、ずっと一緒にいましょうよ。ずっとずっとずっとずっとずっと・・・」
「く、くるなっ!」
「きゃっ!!」
目前まで近付いていた成美をはねとばし、そのまま走る。
・・・怖かったんだ。
倒れる成美が視界に入ったが、振り返らずに走った。
「うふふふ。逃がさないわよ。私たちはずっと一緒なんだから。ははははは! 」
最初のコメントを投稿しよう!