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その日が決定的だった。
成美は、変わらずに学校には来ない
。
でも、見張られている。
そんな気がずっとしている。
視線を感じない所はない。
学校、自室、風呂やトイレに至るまで。
気のせいだと分かっている。でも、感じる視線に恐怖していた。
頭に浮かぶ、成美の虚ろな顔。
・・・背筋が震え上がる。
携帯は着信拒否にしているから安心だ。
でも、時々かかってくる無言電話が恐ろしい。
非通知だったり、公衆電話だったり。
誰だ! と一度叫んだとき、受話器の向こうの相手はくすりと笑った。
頭を抱える日々。
ノイローゼなどというレベルではなく、既に欝だ。
成美の陰に脅える日々だった。
何かに脅える俺を気味悪がり、クラスでは完全に孤立していた。
・・・成美のせいだ。
成美に対する怒りがどんどん膨れ上がっていた。
なんとかせねばと悩む中、事件が起こった。
飼っていた犬が殺された。
無惨に、カッターナイフで切り裂かれ。
妹が襲われた。カッターナイフで腕を切り裂かれ。
・・・花野さんは、カッターで顔を切られた。
ここまでくると、疑惑は確信に変わり、俺はとうとう決意した。
「成美に・・・会わなきゃ」
こんな悲惨な生活から脱するために、成美に会わなければ。そして、終わらせよう。
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