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深夜、人通りが皆無の公園。
弱々しい街灯の光に照らされて、二人の人間が対峙している。
一人は満面の笑みで。
一人は緊張の面持ちで。
「達也の方から会いたいだなんて嬉しいわ」
乗っていたブランコを降り、成美は笑顔で話しかけてきた。
久しぶりに会った成美はすこしやつれ、目の下にくまができていた。
成美とこうして会って分かった。
あの視線の正体はやはり成美のものだった。
成美に見つめられると鼓動が早くなり胸が痛い。
もちろん恋こがれているわけではなく恐怖や恨みなどの負の感情によってだ。
「やっぱり私の所に戻ってきてくれたのね。苦労したかいがあったわ」
「苦労?」
成美はさらに顔を歪め言った。
「苦労したのよ? 達也のまわりの女に解らせるのに。達也は私のものだってね」
「詳しく、教えてくれないか?」
「うふふ・・・聞きたいの?」
嬉しいそうに語りだした。それを心を落ち着かせながら聞く。
「最初はぁ・・・そうね、林ね。階段から突き落としてやったわ。まったく、なれなれしく達也に話しかけないでほしいわ」
「な・・・!?」
言葉を失う。
まさか、林さんを?
それだけで突き落としたというのか!?
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