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一気に決めよう。
ためらわず、確実に殺そう。
ポケットからナイフを取りだし、パチンと刃を出す。
「あら?」
「殺してやる」
成美はきょとんとしてこっちを見ていた。
一歩踏み出して、唖然としたのは俺だった。
「あ・・・ああああ!?」
右目を押さえて膝をつく。痛い、痛い痛い痛い痛い。なんでなんでなんでなんでどうしてどうしてどうして。
「嬉しい・・・」
成美の声が聞こえる。
潰れていない左目で成美をみると、右手には黒い物体が。
銃・・・? いや、エアーガンか。
それにしてもなんて精度だクソッ!
「考えてる事は一緒だったのね。いつも一緒にいようって。死も二人を引き裂けない」
じゃり、じゃりと砂を蹴って歩いてくる。
「なんだ・・・俺を殺してお前も死ぬというやつか?」
「違うわ。一緒に生きるのよ。ずっと、ずっと」
ついに目の前までやってきた。ナイフは・・・落としたか・・・しくったな・・・。
「どういう、意味だ」
右目からはとめどなく血が流れている。
情けない事に、痛みで動けない。
「ずぅっと、一緒よ。達也は、私の中で生きるの。これで、別れることはないわ。どうして早く気付かなかったのかしら。ふふふ」
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