プロローグ

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家が建ち並ぶごく普通の住宅街にあるごく普通の一軒家。 そこに暮らすどこにでもいるような普通の女子大生が私。 しかし、家族構成は少し変わっている。 両親はともに暮らしていない。 父は単身赴任だし、母は私の中学卒業を待たずにガンで亡くなった。 父は最初、赴任先に私達も連れていくつもりだったらしいが、長兄はもう就職していたし、私達もそこまで幼くはなかったので慣れ親しんだ街をでることを拒んだ。 心配性の父は渋っていたが、長兄がしっかりと面倒をみるからと説得し、兄弟達だけでの生活が始まった。 私達兄弟は長男、次男、長女、三男、四男の五人。 おわかりの通り男ばかりだ。 唯一の紅一点が私である。といっても華やかさなど全くないのだが。 家事は一応分担制となっている。 しかし、四男は部活が忙しいのと、次男はバイトと諸々のお付き合いで忙しいらしいので結局私にばかり仕事が回ってくる。 小さい頃から母の手伝いをしてきたので、家事は好きな方だから全く問題はないのだが。 「姉さん、今日は買い物いく?」 「ごめん!今日は帰り遅くなるからさ、代わりに頼める?夕飯も適当に済ませちゃって」 「ん」 「何々?こよりちゃんデート?」 「相手いたの」 「講習会があんの!」
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