唯一の夏休みに

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「…き、か…き」 誰かが俺の名前を呼んでる気がする 凄く…心地の良い声 「和輝!」 「っおわ…!?」 そうかと思えば大声で名前を呼ばれ体を起こす 声がした方を見れば呆れたような顔をした武瑠がいた 「気づいたら寝てっから…」 ほら、と差し出された麦茶を受け取りとりあえず一口飲む 氷で十分冷やされた麦茶が喉を落ちていく感覚が気持ちよかった 「結局課題進まなかったな…はは、真っ白」 そう言って俺の課題を見ながら笑う武瑠は もう茜色になった空に輝く光に照らされて、いつもよりかっこよく見えて 何故か急に恥ずかしくなった俺は視線を下にずらした お互い無言の静寂が広がり蜩の鳴く声が耳に響いた そんな中、先に口を開いたのは武瑠だった
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